生きているダニはアレルゲンじゃない!?
ダニアレルゲンという言葉を最近テレビや雑誌などでもよく見かけるようになりましたが、そもそもアレルゲンってなに?
という方のために、まずはアレルゲンについてお話していきましょう。
アレルゲン(ドイツ語:Allergen)とは、(中略)抗体と反応してアレルギーを
引き起こす物質(抗原)そのものを指すが、その抗原を含んだ物質(食品など)を
指すことも多い。(以下略)
引用元:「アレルゲン」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版より』 2018年3月6日 09:38 (UTC)
とあるように、アレルギー反応を引き起こす原因となる物質と言えます。
様々な種類があるアレルゲンの中で私たちの身近な所では、花粉、食物ではそばやピーナッツなど、他にも動物の毛などありますが、ダニアレルゲンについてもよく知られているアレルゲン物質のひとつだと思います。
ところが、意外と知られていないのが生きているダニはアレルゲンにはならないということです。
じゃあ何がダニアレルゲンなの?というお話ですが、実はダニのふんや死がいがダニアレルゲンになります。
結局はダニが多く生息していれば、ダニアレルゲンが増えていく一方である事は間違いないですが、日本では屋内塵性ダニ類の中で特に2つの種類が7割~9割の生息数を占めると言われています。
それが、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニと言われるチリダニ類の2種です。
この2種類のダニは、屋内の湿度や室温などの違いにより、その生息数の割合が変化することが研究により分かっていますが、近年、日本国内ではコナヒョウヒダニの生息数が増えており、これは、コナヒョウヒダニがヤケヒョウヒダニよりも乾燥に強く、低温でも生きることができるためだと言われています。
コナヒョウヒダニ(Derf)とヤケヒョウヒダニ(Der p)とは
日本の屋内では、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニが多く生息している事がお分かり頂けたかと思いますが、住宅の気密性の向上や冷暖房の普及が原因で乾燥と一定の室温を保たれる条件が増えてきた事もあり、特に都市部ではコナヒョウヒダニが多く割合を占めるようになりました。
さらにもう1点、コナヒョウヒダニの増加理由として挙げられているのが、個体数の増加などによる生活環境の悪化(個態群密度)にともない長期発育休止若虫が出てくるという事です。
越冬し、適温になると再び活動を始め成虫となる。そのため、生息年数が伸び、屋内ダニアレルゲン物質を増やす要因となります
ちなみにヤケヒョウヒダニは、乾燥・低温条件下では過ごす事ができず、長期発育休止若虫にもなりにくいため死滅してしまいます。
タイトルにもある【Der f】と【Der p】とはなにか?
【Der f】は、Dermatophagoides farinaetの英語略でコナヒョウヒダニの事で、
【Der p】は、Dermatophagoides pteronyssinusの英語略でヤケヒョウヒダニの事です。
日本で使用する時にはそれぞれのダニ由来のアレルゲン物質を指す事が多く、
【Derf 1】・・・コナヒョウヒダニのふん
【Derf 2】・・・コナヒョウヒダニの死がい
【Derp 1】・・・ヤケヒョウヒダニのふん
【Derp 2】・・・ヤケヒョウヒダニの死がい
の様に後ろに数字をつけて、それぞれのアレルゲン物質を区別しています。
ダニ検査用マイティチェッカー
アレルGプラス実験室で使用している「ダニ検査用マイティチェッカー」は、
住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社が販売している屋内塵性ダニ簡易検査キットで、
「学校環境衛生基準」の準拠商品です。
特長としては、ダニアレルゲンを簡易的に発色程度によって定性的に評価できるところで、
ELISA法(酵素免疫測定法)との相関係数が高いと言われています。
ELISA法(酵素免疫測定法)とは、サンプル中に含まれる微量の目的物質を、酵素標識した抗体もしくは抗原を用い、抗原抗体反応を利用して定量的に検出する方法で免疫学的測定法のひとつです。
学校環境衛生基準ではこの酵素免疫測定法もしくはこれと同等以上の方法により、毎学年1回定期にダニ又はダニアレルゲン量の測定をしなければならないと定められています。
「ダニ検査用マイティチェッカー」は、学校環境衛生基準で求められている測定方法にも該当し、実際に現場でも利用されている検査キット。
ELISA法のように定量的にダニアレルゲンを測定できる訳ではありませんが、発色程度を確認して比較的簡単に評価できる所が特長です。
ただし、この検査キットで測定できるダニアレルゲンは、Der 2(Derf 2とDerp 2)でコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの虫体由来のアレルゲンのみですので、花粉などその他のアレルゲンは対象となりません。
検査キットの中身を見てみよう
ここまで案内してきました「ダニ検査用マイティチェッカー」ですが、実際の検査キットの中身を見てみましょう。
①-外箱
②-取扱説明書(判定用色見本)
③-抽出液×5本
④-チャック付ビニール袋×5枚
⑤-ゴミ取り袋×5枚
⑥-マイティチェッカー®×5本
検査キット1箱分の中身です。
この検査キットを使って、採取したサンプル(ハウスダスト)からダニアレルゲンを抽出し、マイティチェッカーで判定します。
判定結果の基準は?
判定結果は付属の判定色見本を参考に、判定していきます。判定チェック箇所に浮かび上がる色を確認、++ ~- 判定までを決定します。
学校環境衛生基準で定められている基準でいうと、ダニ又はダニアレルゲン量は100匹/㎡以下またはこれと同等以下のアレルゲン量であること。とされていますので、学校内では +判定以下が望ましい環境という事になります。
ちなみにアレルGプラス®実験室の担当社員は、上記の判定用色見本の4段階判定からさらに独自に中間の色を見極めて全7段階の判定結果をしています。これはメーカー判定基準ではありませんので、あくまでもアレルGプラス®実験室の独自の判定基準とお断りしておきますが、卓越した心眼とも言える実験室担当社員の情熱によってわずかな色の差を見極め判定し、今後の開発・製造に活かす努力を続けているアレルGプラス®実験室の担当社員なのであります。
今後のブログにも、今回ご紹介した「ダニ検査用マイティチェッカー」が頻繁に登場します。時々、こちらの記事を思い出して読み直して頂ければ幸いです。
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