ITEAからの報告書
こんにちわ、アレルGプラス実験室のブログ主です。
今回のお話は、ITEA(東京環境アレルギー研究所)からの試験報告書について
お話させて頂きたいと思います。
アレルGプラスの抗アレルゲン試験を依頼
これまで様々な製品にご採用頂いているアレルGプラスですが、まだまだその能力には
未知な部分も多く、原料アレルGプラスにおける抗アレルゲン試験結果によって、
すでに製品化を進め、ご販売頂いている企業様の後押しやこれからアレルGプラスに
興味を持って頂ける企業様へアピールをできる試験結果になるのではと考え、
抗アレルゲン性能を外部試験機関に依頼する事にしました。
抗アレルゲン試験の各種受託試験を行っている企業のひとつ
ITEA株式会社(東京環境アレルギー研究所)は、国内に数十社以上ある
同様の受託試験機関の中でも、取り分けアレルゲン分野に対する研究や試験に特化され
ており、ブログ主は、いくつかの企業へ相談をする中で今回の試験目的をご理解頂き、
適切なアドバイスをして頂いた同社に依頼する事にしました。
ー 小規模事業者持続化補助金の活用
さて、本題に入る前に今回の取り組みを行った背景のひとつとして、
経済産業省が中心となり進められている
『小規模事業者持続化補助金』(以下、補助金とする)に採用頂けた事にあります。
こちらの補助金についての詳細は、インターネット上で検索頂ければすぐに見つける事が可能です。ご興味のある方は、一度日本商工会議所が運営しているwebサイトを調べてみて下さいね。
ここでは、簡単に補助金事業の目的をご紹介しておきます。
~小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。~
※(令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】Ⅱ. 本事業について 1. 事業の目的について より一部抜粋)
とされていて、弊社がアレルGプラスの拡販や新規開発などの新しい取り組みを
続ける為にこれからもぜひ活用していきたい補助金だと考えております。
ー アレルGプラスの抗アレルゲン試験
さていよいよブログの本題になりますが、抗アレルゲン試験を行う簡易的手段として、
住化エンバイロメンタルサイエンス株式会社製のダニ検査用マイティチェッカーがあり
アレルGプラス実験室ブログでも度々紹介させて頂いています。
こちらの簡易検査キットを使用すれば比較的簡単に抗アレルゲン試験を行う事が出来、
これまでにもアレルGプラスを加工して頂いた様々な製品の抗アレルゲン性能を
アレルGプラス実験室で定性的に評価して参りました。
ではなぜ補助金を活用してまで抗アレルゲン試験を外部機関に依頼したのか?ですが、
主に以下のような理由があるからです
↓ ↓ ↓ ↓
・測定方法の違い(水平展開クロマト方式とELISA法)
・測定対象アレルゲン物質の種類
・試験結果評価方法の違い(定性分析か定量分析)
〈抗アレルゲン試験のアレルGプラス実験室と外部委託先(ITEA)との違い〉
試験機関 | 試験方法 | 対象アレルゲン物質 | 試験結果 |
アレルGプラス実験室 | 簡易検査キット | ※Der 2のみ | 目視による定性的判断 |
ITEA | ELISA法 | 複数より選択可 | 定量分析による数値化 |
※Der 2…ダニ虫体由来アレルゲンの事。詳しくは、ダニ検査用マイティーチェッカーについてのブログをご覧下さい。
試験結果を数値化する事で相手に与える印象が変わる事もあります。
どちらがいいと言う事はないと思いますが、数値化されている事で誰でも簡単に
分かりやすく比較する事ができるようになります。
例えば、よく見かけるのは “ 99.9%以上の効果 ” という表現ですが、この後に
“ 70%の効果 ” という表現を見ると前者との比較がしやすくなります。
ITEA(東京環境アレルギー研究所)への抗アレルゲン性能試験依頼は、
上記のような比較をしやすくする為の目的も一部含んでいますが、これまで
アレルGプラス実験室で行ってきたダニ検査用マイティチェッカーを使用した
抗アレルゲン試験結果以外にアレルGプラスが持つ未知の可能性を見出し、
今後の研究・開発のヒントとする為に行いました。
抗アレルゲン試験における対象アレルゲン物質の選定
アレルギー症状を引き起こす原因となるアレルゲン物質は、動植物由来のモノから
虫、化学物質由来のモノまで様々あり、まだまだ特定されていないモノも無数にある
と言われています。
今回ITEA(東京環境アレルギー研究所)に依頼する抗アレルゲン性能試験の
対象アレルゲン物質は、アレルGプラスの使われ方から密接に関わりがありそうな物質
を選定し、試験を行って頂く事にしました。
例えば、食物アレルギーの原因となる対象アレルゲンであれば、そのほとんどが口から
摂取し体内にアレルゲン物質を取り込む事になりますが、弊社のアレルGプラスは
食用ではありませんので、食物アレルゲンに対する試験はあまり意味がありません。
では、対象となるアレルゲン物質はどういったものか?という事ですが、
アレルGプラスの用途としては、これまで繊維製品の加工に使用したり、
繊維製品に直接スプレーするタイプなどが多く、主に花粉やダニ(フン、死骸)などが
対象のアレルゲン物質と言えます。
これらのアレルゲン物質は、日常生活上、避けて通れないアレルゲン物質かも
しれませんね。
さらにスギ花粉やダニ由来のアレルゲン以外に近年日本でも増加傾向にあると言われて
いるのがペットアレルゲン物質の代表とも言える、イヌ・ネコアレルゲン物質です。
日本では花粉やダニ由来のアレルゲン物質が一般的にも注目されていますが、
近年急増しているイヌ・ネコの室内飼育化の傾向により、イヌ・ネコ由来の
アレルゲン物質による汚染はこれからさらに加速すると予想され、
アレルGプラス実験室ではいち早くその対象物質に対する効果を見てみたいと
考えました。
ー 寝具中のアレルゲン日本と欧米の違い
少し余談になりますが、下記のようなデータがあります。
〈寝具中のダニアレルゲンー本邦と欧米における調査データの比較〉
アレルゲン | 寝具塵中アレルゲン量の幾何平均値(μg/g dust) | ||
日本 | 米国 | 欧州 | |
ダニ(Der 1) | 14.9 | 1.40 | 0.58 |
ネコ(Fel d 1) | 0.28 | 2.74 | 0.94 |
イヌ(Can 1) | 0.50 | 2.48 | ー |
日本:国立病院国立療養所気管支喘息ネットワーク研究班
米国:National Survey of Lead and Allergens
欧州:European Community Respiratory Health Survey
引用元:室内環境中のダニ・昆虫とアレルギー疾患
上記の表から、日本のダニアレルゲン汚染は欧米の10倍以上もある事が分かります。
一方で、イヌやネコアレルゲンによる汚染は欧米の方が日本より5~10倍も多いという
データです。これは生活様式や環境による違いかと推測されますが、とても興味深い
調査データだと思います。
良くも悪くも欧米化傾向の進む日本においては、室内におけるイヌ、ネコアレルゲンの
汚染レベルが進むと容易に想像がつきます。
ー 試験対象アレルゲン物質の決定
ITEA(東京環境アレルギー研究所)のご担当者と相談をしながら、
対象アレルゲン物質を以下の4つに絞ることに決定しました。
1.スギ花粉アレルゲン(Cry j 1)
2.コナヒョウヒダニ フン由来アレルゲン(Der f 1)
3.イヌアレルゲン(Can f 1)
4.ネコアレルゲン(Fel d 1)
ITEA(東京環境アレルギー研究所)からの報告書
後日、ITEA株式会社(東京環境アレルギー研究所)より、
抗アレルゲン試験報告書が届きました。
どのような結果であったか、ドキドキする瞬間です。
【各対象アレルゲン物質に対する試験結果】
1.スギ花粉アレルゲン(Cry j 1)量及びアレルゲン低減率
アレルゲン初期量実測値 836.30ng
試験区分 | Cry j 1量平均値(ng) | アレルゲン低減率(%) |
アレルGプラス | 8.98 | 98.9 |
精製水(対照) | 843.01 | ー |
2.コナヒョウヒダニ フン由来アレルゲン(Der f 1)量及びアレルゲン低減率
アレルゲン初期量実測値 914.69ng
試験区分 | Der f 1量平均値(ng) | アレルゲン低減率(%) |
アレルGプラス | 288.62 | 67.5 |
精製水(対照) | 888.98 | ー |
3.イヌアレルゲン(Can f 1)量及びアレルゲン低減率
アレルゲン初期量実測値 936.94ng
試験区分 | Can f 1量平均値(ng) | アレルゲン低減率(%) |
アレルGプラス | 15.36 | 98.3 |
精製水(対照) | 919.01 | ー |
4.ネコアレルゲン(Fel d 1)量及びアレルゲン低減率
アレルゲン初期量実測値 840.46ng
試験区分 | Fer d 1量平均値(ng) | アレルゲン低減率(%) |
アレルGプラス | 198.11 | 74.5 |
精製水(対照) | 777.06 | ー |
ITEA試験報告書 2020年11月30日発行 試験 No. T2010075 6.試験結果より抜粋
上記の結果より精製水を対照として4つのアレルゲン物質に対して、65%以上の
低減率が認められました。
さらにアレルGプラスのポテンシャルを確認する為に、この試験検体のアレルGプラス
実は、5倍希釈したアレルGプラスを精製水と比較してもらっています。
つまり原液であれば、対象アレルゲン物質4つ全ての低減率が 99.9%以上 になる
可能性もあるんです!(※あくまで机上の計算値です)
さらに今回初めて試験を試みた対象アレルゲン物質、
Can f 1(イヌアレルゲン)
Fer d 1(ネコアレルゲン)
この2種においても、しっかりとアレルゲン低減効果を確認することができました!
報告書の結果は、アレルGプラス実験室における今後の研究・開発にとっても
非常に有意義な試験結果となりました。
ー終わりに
今回、ITEA株式会社(東京環境アレルギー研究所)に依頼した抗アレルゲン試験
によって、アレルGプラスの抗アレルゲン性能が数値化され、誰にでも分かりやすい
説明が出来る様になりました。
(ただし、あくまでも今回の試験条件における対象アレルゲン物質に対する効果が
認められたという事だけですので、実際の加工製品や使用時に同様の効果が得られる
という訳ではないのも事実です。)
この試験結果をもとに、ご採用頂いている
企業様の商品販売の後押しや新たな企業様へ向けた
アピールとなるのは間違いないと確信し、
これからも研究・開発、製造を地道に続けていこう
と思うブログ主なのでした。
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